コラム
2022-04-26 15:20:03
皆さんはじめまして!家具製造工房に勤め始めてはや5年。広報担当のゆうやと申します。
樹には2つの種類があるのはご存知ですか?
それが『針葉樹』と『広葉樹』です。中学校の時に勉強しているので、覚えている人も多いんじゃないでしょうか。
実は、この針葉樹と広葉樹の違いによって、家具の出来上がりは全く違うものになります。
間違った家具の買い方を防ぐのはもちろん、DIYの時にどういった材料を使えばいいのかを今回は徹底解説していこうと思います!
これさえ読めば材料の選び方から、特徴把握まですべてわかるので是非参考にしていって下さい。
まず、樹には2つの種類があって、それが『針葉樹』と『広葉樹』と呼ばれるものです。
どういった違いがあるのかと言うと、『見た目』『内部組織』『硬さや重さ』『流通量』『家具にした時の特徴』などのいろいろな違いがあります。
見た目はもちろんのこと中身の作られ方も全然違っていて、そのため同じ樹であっても全く異なる性質を持っているんです。
針葉樹の代表的なものでいくと、スギやヒノキなどがあります。基本的に日本では広葉樹よりも針葉樹の方が圧倒的に多く植林されていて数が多いです。
広葉樹の代表的なものは、ウォールナットやホワイトオークなどの海外で育つものや、国産のものでいくとケヤキやクルミなどが挙げられます。
こちらは逆に海外からの輸入材の方が有名なものは多くあります。
ホームセンターなどでよく一般的に販売されているのは基本的に針葉樹のものになります。
ただ、実際にDIYとして使ったり家具の材料に使われたりするのには、針葉樹は向いていない素材になります。
それぞれの特徴も踏まえながら説明をしていきたいと思います。
針葉樹と広葉樹のそれぞれの特徴を簡単に紹介したいと思います。
①組織の約90%が仮道管で締めている
②縦長の細胞が多い為、まっすぐした樹が多い
③軽いわりに強度があるため建築材料として使われる
④柔らかくて、触れると温かみを感じる
外見の特徴としては、針のように細くて尖った葉をもっている樹になります。多くの樹が常緑樹で一年を通して常に緑色になっています。
仮道管というのは水分が通るための通路で、それが90%ということは樹の中身の作り自体がすごくシンプルになっています。
そのおかげで、しなやかさを持ち合わせながら強度があるという特徴を持っています。
樹自体が綺麗に真っすぐ伸びて成長をするので、家具にも使われることが多く、中でも扉などの建具や梁などの躯体に使われることが多い素材です。
①針葉樹よりも複雑な細胞組織になっている
②繊維質が多く、重くて硬い
③杢目が特徴的で化粧用に使われることが多い
④重厚感があり、触ると逆に冷たい
広葉樹は細胞組織が針葉樹に比べてかなり複雑になっています。
ちなみに、学問的にも広葉樹は針葉樹がより進化した個体として識別されています。
そのため、針葉樹に比べて硬くて重い材料になっています。
広葉樹は太くて幹自体が曲がったり、うねったりしています。葉も丸みを帯びている形になっています。
最大の特徴としては、個性的な木目が挙げられます。
比較的色素が濃いものが多いので、色味豊かな独特な模様を持っているものが多く、よく意匠用のデザイン素材としてや家具の素材としてよく使われています。ただ、先ほどもお伝えした通り、素材自体がかなり重くなっているので運ぶ時などは注意が必要です。
針葉樹と広葉樹は内部強度が全然違うので、【針葉樹=ソフトウッド】【広葉樹=ハードウッド】とそれぞれ呼ばれています。
特徴把握をする時に、これが一応ベースになってくるので覚えておいてください。
では、家具の材料として使うときの注意点について触れていきたいのですが、それぞれの注意点を挙げたいと思います。
①ホームセンターなどでよく手に入る
②ただし、柔らかいのでキズがつきやすい
③色味が白色・黄色ベースのものが多い
①ネットや材木屋さんで買うしかない
②硬くて重くて傷はつきにくい
③濃い色味のものが多く、着色しにくい
少し先程も触れましたが、針葉樹は柔らかくて傷が付きやすいので基本的に家具の材料には向いてはいません。
角の部分に物が当たってしまうとすぐに凹んでしまったり、削れたりしてしまうので注意が必要です。
そうなると広葉樹の方が家具として向いていることになりますが、逆に広葉樹は硬くて重いので運んだり、場所を変えたりするには注意が必要です。
あとは価格的には針葉樹のものの方が安いことがありますが、長期的に使っていくことを考えると広葉樹のものを選んだ方がいいと思います。
実際には、針葉樹の家具も売られていますが、圧倒的に広葉樹の家具の方が多く売られています。
理由としては、先ほど述べた傷のつきやすさだけではなく、広葉樹の方が色味のレパートリーも豊富なのでデザイン的に取り入れやすいというメリットがあります。
どうしても針葉樹は白系の薄い色味のものしかないので、個性を出すことは難しいです。
ただ、スギ材の家具などを集めてみると特徴的な木目のデザインが個性を出してくれるので、それはそれでおしゃれな仕上がりにもなります。
ただ、個人的な感想としてはやっぱり家具は色目も木目もおもしろい、広葉樹で揃えることをおすすめします。
長く使い続けることや、部屋のデザインを考えた時にどうしても広葉樹の方がメリットが大きいので、僕の部屋の家具も広葉樹の物で、何なら樹種を統一して揃えています。
DIYをする時には、一般的にホームセンターで販売されている素材で揃えることが多いと思います。
ただ、ホームセンターで販売されているモノの多くはSPF材をはじめ、針葉樹のものになります。
先程家具の材料として広葉樹がおすすめとお伝えしましたが、DIYをする時には針葉樹の物を使って下さい。
理由はいくつかあるんですが、まず広葉樹は硬くて重くて加工がしにくい点、そしてそもそも手に入れにくい点があります。
特にDIY初心者の方やそこまで加工をしたことがない方にとっては、いきなり広葉樹を切ったり削ったりするのはかなり大変です。
なので、それこそSPF材といった柔らかくて加工をしにくい物を使うようにして下さい。
そして、表面を塗料で着色をすることにより木目の大人しさをうまくカバーすることができるので、塗装込みで仕上げることをベースにしてみて下さい。
針葉樹と広葉樹は同じ樹ではありますが、かなり特徴が違っていることがわかって頂けたんじゃないでしょうか。
強度的な面やデザイン性からも広葉樹の方が、家具の材料としてはよく使われています。長持ちもしますし、木の色味もアクセントになってお部屋のまとまりも良くなります。
ただ、DIYでは逆に針葉樹の方が扱いやすくなっています。手に入れるところから考えると近くのホームセンターで販売されているのはありがたいですし、加工面も考えると圧倒的に針葉樹の方がやりやすいです。ただ、傷が付きやすい点などは注意が必要です。
最近では、国産材を使用している点をアピールする家具も数多く出てきました。例えば国産スギを使用したダイニングテーブルなどをよく目にします。
個人的には、ダイニングのような物をよく置いたりする所だとすぐに傷や凹みが出ちゃいますし、スギの節や木目を他の家具とマッチさせるのもなかなか難しいのであまりおすすめはしません。
もちろん、スギの風味が好きだったり、床材もこだわってスギ材を使っているので合わせたりする場合はいいと思います。
ただ、国産材を使っているからと言って品質が向上するわけではないですし、トータルバランスを考えるとウォールナットやホワイトオークの家具の方がいいかなと思います。
最終的にはお部屋のデザイン性とどれがマッチするかを考えて購入してもらえば問題ないです。こだわりを持って国産材で統一するのもよし、ウォールナットのような濃い色味で統一するのもよし。
その中で、針葉樹・広葉樹それぞれの特徴を把握した上で、家具を購入したりDIYで自作をしたりして、家具を楽しんで頂ければと思います。