コラム
2022-03-15 17:09:35
皆さんはじめまして!家具製造工房に勤め始めてはや5年。広報担当のゆうやと申します。
今回は質問が多かった、木材の『節』について解説をしたいと思います。最近よく節について質問をもらうようになり、巷でも結構調べられているみたいです。
まず木材には必ずと言っていいほど、節が入っています。家具として使うときにはアクセントになったり、逆に場所によっては悪目立ちしたりする、なかなかおもしろい存在です。
そして、この節が与える要素は何も見た目だけのものではありません。それぞれ種類があったり、特徴があったりとこのポイントを押さえれば、家具を購入する時にもDIYをする時にもすごく役立ってくれるので、是非しっかりと見ていって下さい。
木材にある『節』ってどんなものなのか具体的に知っていますか?あの木の表面によくある、黒くて丸いものです。
実は、木には必ず節があるもので、むしろ必要不可欠なものなんです。
あの節は厳密には『枝が生えていた根本』で、木に枝は必ず生えるもの。だから、節も木には必ずあるものなんです。
木は生きていくために光合成をしなくてはなりません。そのために、いろんな方向に枝を伸ばして、葉を生やしてたくさんの日光を取り入れようとします。なので、節も一定方向にあるものではなくて、四方関係なく様々な所に生えてきます。
枝も太い大きなものもあれば、細く短い物もあるので、節の大きさも形もいろいろなものがあります。基本的には楕円形のものが多く、見た目は後ほど解説する節の種類によっても少し違ってきます。
節の種類を覚えて特徴を押さえておけば、実際に家具として使うときの注意点やDIYをする時に気を付けるべきポイントがよくわかります。
また、商品の良し悪しの判断もわかるようになって、よく勉強している人と見られるので、家具好きの方やDIYをよくされる方などは是非覚えておいて損はない知識です。
節は人工的に作られるデザインのものではありません。自然にできる天然のアクセントとも言えます。
昔は節がない『無節』のものが好まれる傾向にありました。しかし最近では、節があることによって自然の風味をより感じることができると、節が逆に好まれる傾向にあります。
それこそいまの時代全て同じ普遍的なものよりも、個性があってユニークな製品の方が好まれる傾向にあるのと同じで、節のありなし自体を一種の樹のデザインとして楽しめる風潮になってきました。
僕個人的な意見にはなりますが、家具には節が少ない方がよくて、DIYやアウトドア系で使うものなら逆に節が強調されているデザインの方がいいと思います。
もちろん家具にあえて節を取り入れるデザインを好まれる人もいるし、場合によってはその方がいい時もあります。要はお部屋のデザイン性次第で、落ち着いた雰囲気でシンプルなデザインの部屋には節というアクセントはあまり必要ないし、逆にアウトドア感のあるアメリカンな部屋だと節のアクセントがより魅力に映ります。
究極、自分の目指す部屋や雰囲気がどういったものなのかによって選択するのがいいです。ただ、DIYで自分で作ったりする場合には、まず節のないものはコストが高く、手にも入りにくい場合も多い前提条件があるのと、せっかく手作りをするので節も取り入れてデザインとして表現した方がぐっといいものになると個人的には思っています。
あとは、デザイン的に綺麗な節はいくつか入っていてもいいと思いますが、後で説明する死節や抜け節は見てられないので、できるだけそういったものは入らないように考えた方がいいですね。
デザインはもちろんですが、意外と知られていない特徴もたくさんあって、今回は詳しく見ていきますので、是非家具選びやDIYをする上での参考知識として活用して下さい。
もう一度『節』のできかたを詳しく解説していきます。
樹は通常横方向に成長(肥大成長)をしていきます。要するに太くなっていくということです。成長過程でできた枝は、出発点は変わらずその場所に留まるので、次第に成長していく樹の組織に埋もれていってしまいます。そして、木材として木を切断した時に、たまたま枝が生えていた箇所が『節』をして残っているのです。
枝と聞くと、普通外に飛び出して生えているイメージだと思いますが、その生えている部分の根元に関しては動かないので、そのままの状態で残って内部に取り込まれてしまうんです。
そういう意味でいうと、枝は樹にとっては必要不可欠なものになるので、木材にも必ずどこかしらに節が出てくるということです。もちろん、節のない箇所だけを切り取って『無節』という認定を受ける材木の種類もあります。
そんな節にもいくつかの種類があります。
生節(いきぶし)…成長することができた枝の跡、根本が木の本体とつながっている
死節(しにぶし)…枝が枯れてしまって途中で成長が止まった節、周りと離れている
抜け節(ぬけふし)…死節の中身が抜け落ちて穴の開いている節の跡のこと
代表的なものがこの3つになります。
生節はしっかりと成長した枝の根元になっていて、ものすごくカタイです。金属の刃物でもモノによっては欠けてしまったりすることがあります。基本的にこの節が1番多くよく見られます。
そして、その反対に死節は組織が枯れているので中身がスカスカで叩けば簡単に崩れます。周りの細胞が黒くくすんでしまっているので、見た目もあまりよくはないので品質としては下がってしまいます。
また、死節は周りとつながっていないので中身が落ちて抜けてしまうことがあります。それが抜け節です。商品として使う場合は、あえて穴を魅せる時もありますが、大抵は埋木などをして補修をしてあげる必要があります。
そんな節への評価ですが、一昔前と今ではかなり違ってきています。
一昔前は、家の柱に木材の木の柱をそのまま使うことがあったりして、節のない無節のものが好まれる傾向にありました。なめらかで美しいデザインで統一されるので、家具に使う場合も仕上がりがすごく美しくなります。しかし、その反面採れる量がかなり少なく希少なため、価格は高額です。
いまでは反対に、節の人気が高まってきています。節があることによって、木の素材感を感じることができ、より一層自然風味を出すことができると感じられるようになってきたからです。特にこういった認識はDIYをするようになった若い方や女性の方から広まっていて、無節よりも節ありの方がいいと言われるようになってきました。
よく言われる節の部分の強度についても生節の場合、接合箇所や加工する部分でなければあったとしても問題ありません。ただ、死節や抜け節の場合には、穴埋めをして補修をする必要が別にあります。あとは強度が必要な場合などを除けば、どこで使っても大丈夫です。
個人的には、節のありなしはシチュエーションごとに考えたほうがいいと思っています。
家具を購入する際などはお部屋のイメージを清楚・綺麗・シンプルといった風にするのであれば節のようなアクセントは逆に邪魔になってしまいます。家具屋さんでも基本的にいまでも節がない方が商品価値は高いと見られているので、節のないようなものをベースに作られています。
反対にDIYやアウトドア系のものを作ったり買ったりする際は、むしろ節などのポイントがあった方が印象は良くなります。節があることによって、より一層木が本来持っている素材の風味が引き立つので、是非取り入れた方がいいと思います。ただ、実際にはホームセンターなどでは無節の物自体販売されていないことも多いし、コスト面から考えても節ありのものを使うのが現実的です。
あと節のありなしでいくと、1枚板や無垢材のような自然の素材をそのまま使っているものには節がどうしても入ってしまいますが、メラミン化粧板や化粧シートなど人工的に作られているものは節がないものも数多くあるので、どうしても節がイヤだという人はそういったものを選んでもらった方がいいと思います。
節自体は必ず樹に存在するもので、樹にとってはなくてはならない存在です。
節への評価も時代や人にとっても様々で、好き嫌いなどいろいろな意見がありますが、僕個人的には、使いどころによって区別をすればいいと思います。
樹の風味を出したくて自然の感じを表現したい時には節をあえてデザインとして使う方がいいですし、逆に洗礼されたデザインとして綺麗さを表現したい場合には節が少ない物・ない物を選んで使う方がいいです。
DIYなどで使う場合にはコストを抑えて作りたい方も多いと思うので、節がないものを選ぼうとすると材料費がかなりかかってしまいます。それに自分たちで作るものだからこそ、あえて節を取り入れて素材の風味を表現した方が綺麗に仕上がります。
節は自然のものなので人がコントロールをしてできるものではありません。だからこそ、そういった自然の意匠としてうまく表現して、家具や内装にデザインとして取り入れることができれば、部屋の質感も良い物に仕上がります。
節の形状や大きさ自体樹によっても変わりますし、環境によっても当然変わります。ある意味、唯一無二の個性をデザインとして楽しんで頂ければと思います。