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ウォールナットって何?みんなが知らない魅力を話します。

2022-03-29 17:15:57

この記事を書いた人:森口友哉

家具製造会社で営業マンとして働いています。
商品企画にも携わることで商品の特性を完全に理解して、必要な人にこだわりの商品を届けています。
また、木材のすばらしさを広めるための活動もしており、素材や家具に関して人一倍の熱量と知識があります

『世界三大銘木』の1つ:ウォールナット

 

皆さんはじめまして!家具製造工房に勤め始めてはや5年。広報担当のゆうやと申します。

 

皆さん、日本で最も人気のある木は何かご存知でしょうか?ヒノキやスギ、オークなどたくさんの有名な木はありますが、家具において1番人気がある樹種は、ウォールナットなんです!

 

どの家具屋さんにもほぼ必ず置いてある高級木材『ウォールナット』。今回は、ベースとなる基本情報はもちろん、製造者側でしかわからない裏側情報も交えて徹底解説をしていこうと思います。

 

これさえ読めばウォールナットのすべてが丸わかり!是非、ご覧になって下さい。

 

人気No,1樹種の特徴

 

家具用の木材は世界で約200種類もあると言われている中で、日本で1番人気のある樹種がウォールナットになります。

 

まずは基本となる情報をさらっと紹介。

 

産地:アメリカ北部~カナダ(北米材)

種類:クルミ科 広葉樹

特徴

・色鮮やかで光沢がある

・硬くて、重くて、衝撃に強い

・肌触りが良い

・価格がものすごく高い

・品質の差が大きい

 

 

家具や樹の種類について興味がない人でも名前くらいは聞いたことがあるんじゃないでしょうか?どの家具屋さんにいっても、ほぼ間違いなくウォールナットの商品は置いてあります。

 

ウォールナットはアメリカで採れる樹で、広葉樹の硬くて重い重厚な木材になります。日本で採れるクルミの樹と近しい樹種で、クルミよりも濃い色味をしています。

 

艶やかな濃い色彩をしていて光沢感があり、手触りがよく質感が高い素材です。色味が落ち着いた濃い茶系の色彩をしているので、どんな部屋にもマッチしやすい種類の樹になります。

 

昔から世界三大銘木の1つと言われるだけあって、価格が他の木の製品に比べてかなり高額になります。素材の価格自体がかなり高いので、比較的高級家具によく使われています。

 

他の樹種もそうですが、ウォールナットは製品ごとに価格差が結構大きい樹種の1つです。まず大きな素材がなかなか採れないので大きい板を使っているとかなり高額になります。そして、色味や光沢感がある上質なものも採取できる量が少ないので高額になります。

 

一般的な家具販売店で売られている安いものは、細くて薄い材を使っていて質感が普通。逆に高級家具として販売されているものは、大きくて太い材を使っていて色鮮やかなものが多かったりします。

 

 

ウォールナットの種類

 

実は一言にウォールナットと言っても、いくつかの種類があります。例えばいちごも、「あまおう」や「とちおとめ」といった品種がありますよね。それと似たようなもので、ウォールナットにもいくつかの種類があるんです。

 

分けられ方としては、採れる場所で名前が違ったり、そもそもの品種が違うかったり、そういった風に分類されています。またそれぞれに特徴があり、色味や木目なんかも違ってきます。これはウォールナットだけじゃなくて、他の品種のものも同じことが言えるので、是非覚えておいて下さい。

 

・ブラックウォールナット

最もメジャーなウォールナット。一般的にウォールナットと言うと、このブラックウォールナットのことを指し、他の樹種と比べても最も品質が良いとされる樹種。

 

・ヨーロピアンウォールナット

ヨーロッパ・中東で採れる種類。白太と呼ばれる白い帯状の模様がよく入っているのが特徴。そのため、色の薄い・濃いコントラストが美しい仕上がりに見える。

 

・オレゴンブラックウォールナット

名前の通り、アメリカのオレゴン州で採れる上質な種類のウォールナット。これ以外にも、オハイオ州、ミズーリ州で採れたものも同じような名前が付く。

 

・クラロウォールナット

ブラックウォールナットの苗木に、ヨーロピアンウォールナットを接ぎ木して人工的に作られた種類。他の組み合わせもあると言われていて、自然界で自生しているものではない。色目も当然、複雑に絡み合った木目が美しいとされている。

 

よく家具屋さんで販売されているウォールナットや、ネットや記事に書かれているウォールナットは基本的に『ブラックウォールナット』のことを指しています。1番人気のあって取引ボリュームもあり、色味から質感も最も高いと言われています。

 

ウォールナットを使った家具

 

ウォールナットを使った家具は価格が高く高級家具に分類されます。

 

素材の価格が高い反面、やはりそれだけ希少で人気のある樹種なだけにウォールナットで作られる家具は、どれも独特の雰囲気を持っています。

 

ウォールナットの最大の特徴は先程も述べた通り、色鮮やかさと光沢感です。それにより、部屋の雰囲気自体もすごくまとまったものになりますし、深く濃い色合いは奥行き感を演出してくれます。

 

特に落ち着いた雰囲気やシックな空間を作りたい場合は、石目やレザー製品に加えて、このウォールナットの家具を置くことによってナチュラルに空間演出をすることができます。

 

あとは、周りは明るめのトーンの家具が多いリビングに、ウォールナットのテーブルを置くだけで自然と視線はテーブルに集まるような確かな存在感を出すことができます。

 

木の中でナチュラルに濃い色のものって意外と少ないので、ウォールナットは貴重な木材になります。他の素材のものと違い、木材という自然の風味を感じながら、そういった空間演出ができるのもウォールナットならではの特徴の1つです。

 

すごく硬くて重い素材なので傷がつきにくい特徴もあるので、もちろん限度はありますが、他の木の製品に比べれば耐久性は高くなっています。

 

 

 

大量生産の低品質ウォールナット

 

そんなウォールナットですが、市販で一般的に出回っているものの多くは、実は品質がそこまで高くない素材で作られた製品になんです。

 

その理由としては、基本的に市販に出回っている商品は大量生産をベースにして作られているので、多くの材料が必要となります。

 

木材を家具の材料として使うためには、素材を乾燥させて水分をなくす必要があります。そしてその乾燥というのは、基本的には何年もかけて行うものなので、材料の確保にかなりの時間がかかってしまいます。

 

ただでさえ大量生産をするようなものであれば、なおさら時間なんてかけていられないですよね。そこで導入をされたのが、『スチーム乾燥』という方法です。これであれば短時間で大量のウォールナットを一度で準備ができるので、大量生産にも対応することが可能です。

 

ただその反面、このスチーム乾燥をしてしまうとウォールナット特有の光沢感や色味が損なわれてしまって、色がしっかりしていない部分はグレーっぽくなってしまうんです。

 

当然そういった素材のままでは色味があまりよくないので、製品にする時には着色をして使う場合があります。そうすると、自然本来の色味の鮮やかさがなくなってしまい品質が下がってしまいます。

 

これが市販で大量生産された家具の品質の違いです。もし気になる方がいらっしゃれば、普通の家具と1枚板テーブルを見比べてみて下さい。1枚板テーブルの方が色鮮やかで光沢感があると思います。

 

 

上質なウォールナットの見分け方

 

なので、本当の着色していない素材の見分け方としては、

・上質なウォールナットは茶色ではなくうっすら赤紫っぽい色味がある

・見る角度によって光沢感がかわる

 

まず、大量生産ではないということはしっかりと乾燥をされている素材と言うこと。そして品質が高いウォールナットはうっすらと赤紫っぽい色合いが入っています。これは着色をしていない証明で、正しいプロセスを経て加工をされた証にもなります。

 

そして、光沢感がそのまま残っているので、見る角度を変えるとキラキラと光沢の反射があるのが分かるかと思います。ウォールナットしかり、高級木材の光沢感があるというのは光の反射の奥行き感があるということなんです。

 

この2つがわかっていれば、簡単に見分けられるようになります。

 

ネット通販や格安家具などを販売しているところは、スチーム乾燥をした大量生産ベースの商品が基本になります。そもそもウォールナットの無垢材を使っておらず、ウォールナット『風』のものや人工素材(シートやメラミン)などのものもあるので注意が必要です。

 

正直、スチーム乾燥をしていない、いわゆる『本物』のウォールナットを扱うことができる所はかなり少ないです。というのも、それ用の仕入れルートが必要ですし、元々が高級希少材なので確保がかなり難しいという問題点があります。

 

高品質な商品を探すのであれば、そもそもある程度の価格がするので最低でも10万円以上はするのでそこで線引きをするといいと思います。あとは、1枚板テーブルや素材を大きく使っているものを選ぶようにして下さい。大きな材料を使えるということは、それだけの仕入れルートがあるということです。

 

 

アメリカ特有の計画伐採

 

ウォールナットは日本では採れない、アメリカ限定の樹種になります。そのため、日本は日本での伐採の規則があり、アメリカでも当然アメリカ独自の伐採の規則があります。

 

そもそも樹の伐採には、国ごとにルールが決められていて独自の伐採計画というものが導入されているんです。

 

木の伐採の方法によっても、採れる木の品質が大きく変わってくるので重要な要素になります。

 

まず、伐採計画というのは、地域ごとに伐採できる収穫量などのルールが厳格に決められているもので、伐採の時期なども細かくも設定されています。そのため、無制限に勝手に伐採できるということではありません。

 

ここで注意すべきポイントは、『伐採した場所ごとに品質が変わってしまう』ということです。これはすごい重要なことで、樹も人と同じで育った場所が違うと個性や見た目も変わってきます。そのため、同じ時期のアメリカ産のウォールナットで作られた家具でも、地域が違ったりすると色みや光沢具合とかが若干変わったりするので大変です。

 

大量生産・大量販売をする場合は、同じ地域で採れたものを一気に仕入れてしまうのでそういった違いが出ることは少ないです。

 

品質的な観点からいうと、樹は寒い地域で育ったものの方が中身が詰まっていて質が高いとされています。なので、南で育ったものよりもカナダや北側の寒冷地で採れる樹の方が品質が良いと言われています。

 

特にアパラチア山脈一帯に自生するものや、五大湖などのカナダとの国境付近などのものが人気があります。

 

たまにアメリカ北米産という風にうたっておきながら、カナダ産のものが混じっていることもあるみたいです…

 

まとめ

 

ウォールナットは日本ではもちろん、世界中でも人気のある樹種の1つです。色味の美しさから、日常の普段使いにも適している素材です。

 

ただ、品質の高くて大きな素材は、年々採れなくなってきています。そして、大量販売されている製品の多くは、実は自然由来の美しい色目のものではありません。なかなか上質なものと出会うこと自体が難しくなってきています。

 

1枚板自体の数も少なくなってきているので、今後はより一層希少価値が高くなっていくと言われています。

 

本当のウォールナットで作られた製品を手にして欲しいですが、正直価格も高くて全員が手にできるものではないです。お部屋の雰囲気を変えるだけであれば、人工素材を使ったものや大量生産商品でもいいかなとは思います。

 

ただ、僕個人的には仕事柄上質なものがどういったものなのかを知っているからこそ、自分の家には良いものを置きたいです。やっぱりそれだけの価値がありますし、何より毎日使っていて満足感がすごいです。

 

同じ家具屋さんの中でも、作っているメーカーさんが違う家具なんかは色味なども全然違うので、比較してみると面白いですよ。

 

今回はウォールナットを徹底解説しましたが、木材はほんとに奥が深い分野です。機会があれば他の樹種もまた紹介していこうと思います!

 

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